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心友会会長ご挨拶

心友会会長挨拶全文

水平線

心友会役員会の開催に先立つ昨年7月、会長をとの打診を受けた時にはたいへん驚き耳を疑ったものでした。というのも、心友会は東京文理科大学、東京教育大学、そして筑波大学と長い歴史を持つ同窓会ですが、私自身は東京教育大学大学院の4年と1ヶ月というたいへん短い間の在籍だったからです。それにも増して、私ごときに果たして務まるものかという思いもありました。しかし、これまで非常勤の声をかけて頂いたり、学会の役員会の席上などさまざまなところで心友会OBOGの方々にお世話になりましたし、1975年から筑波大学に勤めることになってからは立場が変わって卒業生や院生が心友会にはお世話になっております。この度前会長の田上先生(教育大12期)の「大丈夫よ」という一声に励まされまして、心友会発展のために私なりに精一杯努力したいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
私のことをご存じのない方が多いと思いますし、またそれ以上に大学院時代の私と筑波大学勤務の時の私が若干異なる姿(?)ですので、自己紹介させていただきます。大学院の頃は、事物はどうしてそのように見えるのだろうかということに関心を抱いており、当時のいわゆる実験心理学専攻第1講座で金子隆芳先生ご指導の下、知覚の勉強をしておりました。物理的世界と異なる知覚現象ということで大きさの恒常性やミューラー・リヤー図形の触知覚(触覚でも錯視と同じような錯覚が生じます)など、ある意味では一般的ではない知覚に取り組んでいました。筑波大学では臨床心理学分野に属しておりましたので、一見するとがらりと変貌したように見えるかもしれませんが、個人的には当初の関心への追求の方法が違ってきたと思っています。見えるよりも見えない場合から考えて行った方が、むしろ見えることがわかるのではないかということです。病理法とか比較法という接近法になるかと思いますが、いわば肺疾患を研究することによって肺の本来の機能が理解できると言えるかもしれません。筑波大学1、2期生の基礎実験では非常勤として大きさの恒常性を担当しましたが、現在は臨床心理学分野における知覚研究とでも言えるロールシャッハ・テストを専門にしております。
心理学系に勤務していた時、学内選出の副会長として心友会に関わりました。木村周先生(教育大5期)が会長を務めておられた時で、会員名簿の発行や年会費未納に伴う活動財源などが課題となっておりました。しかしこれらの課題も前々会長の牧野順四郎先生(教育大12回)や前会長の田上不二夫先生たちのご尽力で一応の方向が見えてきました。これからの更なる発展を考えますと、社会のさまざまな領域で活躍しているOBOGに同窓会活動に関心を持って頂き参加をしていただくことが大事かと考えます。特に筑波大学のOBOGの活躍の場は大きく広がっており、職域での心友会活動を活発にできないものかと願っております。今期はそのために努力していきたいと思っております。

2019年4月吉日
小川 俊樹(教院:心友会会長)